大学院生募集

ウイルスに興味ある学生募集

 

ウイルスは生物でしょうか、それとも物質でしょうか? それに答えるためには、生物とは何かを決めなくてはなりません。もしここで生物は、1遺伝子を持っている、2自己複製できる、3生化学反応による代謝によって必要なエネルギーを産生できる、という条件を満たすことが必要とすると、ウイルスは2と3を満たすことができずに失格!ということになります。ではただの物質なのか? いやー、それがただ者ではないのです。

ウイルスは核酸と蛋白質、脂質などの立体的な集まりが膜に囲まれていて、けっこう複雑な構造をしています。ウイルスは実は細胞の外では何もできません。エネルギーも作れないし、複製もできません。その代わり、細胞の中に入ったら全くの別人です。よく車の運転席に座ったら別人という人がいますが、それ以上に何万倍も大きく複雑な細胞を少ない手勢で意のままに操り、自分自身を複製して出てゆきます。ウイルスは自分のコピーが増える事がなにより大事、そのためにはお世話になった細胞が破滅しようが先々ガン細胞になろうがおかまいなし、まさに『利己的遺伝子』の極致なのです。

人類は、そんなわがままウイルスを野放しにしているわけではありません。細胞内での複製プロセスを丹念に追えば、必ずウイルスの複製現場を押さえることができます。そこではウイルス特有の蛋白質が働いているわけで、それを狙った薬を開発すればよいのです。しかしウイルスも負けてはいません。エイズの原因ウイルスHIVなどはたちどころに変身して、薬の効かないスーパーウイルスになってしまいます。エイズが怖いのは、ついには薬が効かなくなってウイルスが増え放題となり、その結果免疫が破壊されて様々な病原体に感染したり普通はおこらない癌ができたりするからです。

では、どうウイルスと戦えばよいのでしょう? ウイルスが複製するためには細胞が必要という事実から、ウイルスがどうしても必要としている細胞因子を探し出してそれをウイルスから隠す、という方法があります。実際、こういうやり方でHIVの細胞への侵入を効率的に防ぐ方法がすでに開発されています。多くの研究者は同様な理由で、細胞の中でウイルスがどんな細胞因子を使って複製しようとするのかを知りたい、と思っています。私たちはそのためにユニークな実験系を開発しました。まず、ウイルスがとても複製しにくい細胞を作るのです。それ以後は・・・あとのお楽しみ。